最後のブログ(仮)

90年代以降作り散らしたblog的なものの最後

退院そして

10/13からきっかり2週間教育入院をした。退院後早くも1ヶ月半経過しているが、今までの状況をおさらいしておきたい。

まず教育入院はその名のとおり教育目的での入院で、明確な医薬品や手術による治療は一切ない。その代わりに、低カロリー、減塩による食事療法、主に有酸素運動による運動療法を強制される。入院前はおそらく2500から最大で3000kcal近くを摂取していたようだ(カロミルの記録)が、入院中の3食の総カロリーは1600kcalだ。一方塩分は入院前の記録では平均でも10g以上摂取していたようだが、入院中は6gに制限された。その結果なにが起きたかというと、まずは塩分制限による水分の排出が起きた。それによっていきなり3日間で3kg体重が減った。まずこれが驚きだった。体重の多くを水分が占めることは当然分かっていたが、それを維持するために体内に塩分を保持していたということだ。塩分摂取量を減らせばその分、保持できる水の量が減る。実に当たり前のことだが目から鱗だった。

しかし退院後に痛感することだが、日常生活においてカロリー制限よりも難しいのが塩分制限である。日本人は和食のせいでただでさえ塩分摂取が多いので、本来なら6gが適切な量だがその性質を考慮して厚労省的には10gまでOKということにしているらしい。自分は元々塩っぱいものは苦手なので避けたいのだが、少なくとも自分で作る以外あるいは減塩食の宅配でも利用しない限り、1日6gに制限するのは極めてむずかしい。町の定食屋は食材のバリエーションが豊富だが、そこで主菜1、副菜2、主食、一汁などを選ぶと一発で6gを超えることがある。なのでむしろコンビニやスーパーの惣菜や弁当の方が明記されている分、管理しやすいというメリットがある。とはいえ、こと塩分に関しては実感としては成分表に書かれている量は(推定値)とあることも多いように、実際よりは少なめに書かれているようだ。そういう場合はできるだけ汁やタレは残すことにする。

さて入院して体内の塩分量が減ることで水分が減るが、血圧はすぐに下がることはなかった。その結果降圧剤としてロサルタンKが処方された。それによって血圧はひどい時は上が170程度あったものが120前後に落ち着くことになった。ただ、血圧測定を繰り返しているうちに妙なことがあった。普段は主に左腕で測定するのだが、たまたま位置の関係で右腕で測定した時に、左腕よりも40ぐらい高い値になった。そうしたら主治医や看護師がざわつき、大動脈瘤解離の可能性やらなんやらを疑い始め精密検査まで受けたが、結局なにも見つからず無罪放免となった。

最初の3日間ほどでそういうドタバタは収束し、そのあとはひたすら空腹感との闘いとそれを超えて運動することへの挑戦だった。病院前の屋外通路を30分間何往復もしたり、エアロバイクを30分間漕ぎ続けたり、それらを午前午後繰り返したり、運動部の合宿のようだった。唯一違うのは運動後の食事量が少ないこと。しかもかなり。満腹感を得るためと血糖値のコントロールのために、普段の倍以上の時間をかけて咀嚼する。だいたい1食に20分間はかけるように心がけた。当然ながら間食はできないので、一食一食を大事にせざるを得ない。まずいイメージのある病院食だが、素材が良いのか調理が良いのか、薄味である以外はとても満足できるものだったし、慣れてくると元々薄味好きなこともあってまったく苦ではなくなった。

体重というのは直線的に減少するものではなく、1日に4回計測すると起床後排尿した後がもっとも軽く、そこから食事をするに従って増加していく。その後排便があるとその分減る。それとどういう訳か寝て起きると減っている。だがそれもカラクリとしては不思議なことではなく、いわゆる「燃焼された」脂肪が二酸化炭素と水分となって呼気や汗として蒸散していくせいだ。おもしろい。そして階段上に減少していくと3kgぐらい減ったところでしばらく動かなくなった。プラトーとか高原期というやつで、体が低カロリー摂取に適応して少ない摂取エネルギーでも活動できるように頑張っている時期だ。しかしそれでもしつこく低カロリーを続けていると、体も諦めるし、まあ少ないけど栄養は入ってくるから心配することはないなと判断して、安心して脂肪を消費し始める。そしてまた次の体重減少が始まる。

ということで10月13日に93.5kgでスタートした教育入院は2週間後の10月27日の退院時にはギリギリ90kgを切って89.5kgとピッタリ4kg減となった。2週間で4kg減は早すぎるらしいので、退院後は日常食の組み合わせで徐々に減らすのを目指す。ところが退院して1ヶ月でさらに5kg減少してしまい、ちょっとやりすぎかもしれないと思って食事の内容をより自分の好みに合わせて量を減らす形で対応したところ、減少速度は緩やかになった。12月11日時点では84~85kg程度をうろうろしている。当初の目論見では年末に80kgを切るつもりだったが、なんでもスピード競争にしてしまう悪い癖はこの際封印して、持続性を優先する。

今のところ3台の体重計を渡り歩いた結果、数字のばらつきが結構あるので、体脂肪率などはあまり当てにならない。だいたい26%ぐらいなのかな?という感じ。iPhoneで記録できる手軽さに負けて異常に安い体重計を買ったら精度が甘すぎてよくわからなくなったが、100g単位で一喜一憂する自分はかなりやばいので、これぐらいで良いと思っている。過去を参照すると一番活発だった学生時代の75kgぐらいがちょうどいいのかもしれないが、それにはまだ10kg減らす必要があるので、あと約4ヶ月後の年度末ぐらいを目処にがんばっていきたい。ペース的にはそれぐらいがちょうどいいだろう。

 

ところで、入院に際してMeta Quest3もMacbookAirも本も数冊持ち込んだものの、空腹感に耐えている間は頭脳を使うような知的活動はほとんど不可能で、人体のエネルギー利用における優先度を思い知ることとなった。今の時代、「腹が減っては戦はできぬ」ではなく「腹が減っては文化芸術活動はできぬ」であろう。衣食足りて礼節を知る、を実感することなくぼんやり生きてきてしまったことについて、仕方なかったとはいえ、認識を新たにし反省した次第。